-1- 出産の日 

育児記録

僕は出産の日、陣痛が起き始めてからiphoneのメモに記録をつけておきました。
その日あったことを忘れないように。

そのメモに加筆しながら、出産の日のことを書き留めておこうと思います。

そして父になる。

その日は唐突にやってきた。

2020年の2月も終わる頃、華の金曜日の夜私はベロベロに酔っていた。
仲の良い同僚と飲みに飲んでいたのだ。

しこたまビールをかっくらい、「らびおさんもパパになるんすねぇ」なんて言われて
「そうなんだよ、ゲヘヘ」なんて気持ちの良い会話をしたのも束の間、
すぐに話題は「JTのCMソングの【想うた】は最高だ」や「オリンピックで最も熱い種目はボルダリングかもしれない」なんてしょーもない会話をして帰宅。

家に着いたのは23時ごろ。
「かえったぞー、ウィー」
なんて言いながらドアを開けたらもう仰天。

奥さん辛そうに「陣痛が来たかもしれない」と。

一気に酔いも覚めまして、とりあえず痛みの感覚を測ると10分間隔くらい。
とりあえず様子を見て明け方電話をしてみようと判断し就寝しました。

翌朝。奥さんに「これは間違いなく陣痛じゃ」と起こされる。
間隔が8分くらいに短くなっていた。
即産院に連絡を取ると8:45に来るように指示。
マジかよ!!あと3時間もこの痛がってる状態で様子見なきゃいけないのかヨ!とテンパる僕。

とりあえず職場に連絡し、休む旨を伝え朝飯を食べる。
奥さんも痛がりながらヨーグルト食べてた。強い。

時間になったので病院に車で向かう。
入院セットや、破水しても大丈夫なように車に防水カバーをかけたりと奥さんは用意周到。強い。

途中コンビニでポカリやおにぎりなどを買う。なんとなくグミを買ったがこのグミがのちに大活躍。

まだまだ元気そうでこの時は冗談飛ばしながら話をしてた。

病院について診察を受ける。赤ちゃんの心音を30分ほど測って、出産になるか判断するらしい。この間夫は外で待たされるのね。気づいたら待合室でウトウトしてた。

診察が終わり奥さんが戻る。
「このまま産んじゃいましょう。入院になります。荷物を病室まで運んでください。」
と助産師さんから指示をもらう。

言われた通りに車から入院セットを運び出し病室に運ぶ。
この時は正直「この日が来たか!」なんて実感はなかった。なんか事務的に言われたことをこなしてた気がする。

病室に荷物を運び終わり、入院の説明を受ける。
面会時間は「12時からになりますので、旦那さんはひとまずご帰宅してください。」と言われる。
「えぇ!?そういうもんなの!?」って驚くよね。だって奥さん痛がってるじゃん。相部屋の病室で一人痛みと戦うの?って思っちゃうよね。

だからと言って僕たちにできることなんてこの時は10分感覚でやってくる痛みを固いボールを使って腰をゴリゴリしたりしてごまかしてあげることぐらいなのよね。痛みを和らげるわけではないのよ。だから来たるべき時に備えてお互い休んでおいてくださいと。助産師さんってすげぇよな。

というわけで一人病院からほっぽり出される。やることがなぁぁぁぁい!
病院も家から近かったのでとりあえず車で帰宅。

奥さんに必要なものを聞くと、グミとストローを買ってきて欲しいと。

グミは硬いやつを買ったのだが噛んでる時に痛みを忘れられるらしい。ありがとうSours。そして亀の着ぐるみ着て「カメカメ噛め噛めSours噛め噛め」ってCMしてくれてる亀梨くん。あのCM最高だよ。

ストローはペットボトルから直で飲めない(寝てるから傾きをつけられない)からということで買ってみた。普段家にストローなんてないからコンビニで探したら50本入りとかなのね。どうすんだこの大量のストロー。

1時間ほど家で休憩し再び病院へ。
陣痛の間隔が12分間隔とさっきよりも長くなっていた。
陣痛の波が押し寄せるたびに硬いボールで奥さんの腰をゴリゴリとさする。
まだまだ冗談を言うくらいの元気があってよかった。

買ってきたストローをペットボトルにさしたら長さが足りなくて沈んでいった。意味ねぇ。
どうすんだこの50本のストロー!
一度血圧と体温を測ってもらう。
助産師さんの息子さんが職場でお世話になってる人で驚き。世間は狭いねぇ。

陣痛の間隔は10分ほど
陣痛が始まってから10時間近く経つが破水もないので一時帰宅になるかもしれないとのこと。この辺から焦ってた気がする。

赤ちゃんの心音計測が始まった。
たいそうなマシーンをお腹につけて心音を測るらしい。
心拍数が表示されるのをみるとだいぶ安心した。
陣痛の間隔も7分くらいになり順調らしい。一時帰宅にならなくてよかった。

助産師さんが来て内診をしてくれた。
もちろん僕は病室の外に出される。
順調にお産が進んでいるとのこと。
コンビニに買い出しに行くついでにドラクエウォークをしながら歩いた。エビルプリースト強え。

奥さんはご飯の時間。病院の食事が超充実しててびびる。
小洒落たレストランの食事みたい。この後の戦いに備えてたくさん食べておくれ。
と想うが6割しか食べなかった。グミ食いすぎじゃなかろうか。
残りは僕が食べました。超うまい。
陣痛開始の扱いが15:00ということらしい。どういう決まりなんだろうか?

ここで奥さんの了承を取り陣痛の様子を記録しておいた。
動画で撮っておいたんだけど今見ても本当に苦しそうだ。
この時点で陣痛の間隔は5分。繋がれたマシーンに「陣痛」って欄があって表示されてるんだけどこの数字はなんなのだろう?痛みの大きさの数値か?30とか出てるけどまだまだ上がるのだろうか?
陣痛が来るたびにゴリゴリとボールでさする。想像以上のパワーでさすって欲しいらしい。出産後にみたらさすり続けたところは青痣になってました。

ここで「陣痛室」と言うところに移された。分娩室に行くまでの待機室みたいな感じらしい。ケータイを見ると職場のみんなから激励のラインがいっぱい来てた。みんな優しい。

赤ちゃんの心拍を常時モニターするために装置がお腹に固定された。
赤ちゃんの心拍数は150前後。心音の間に大きく「ドゴッ」って音がする。
内側からキックしてる音なんだって。お腹を触っていると本当に強く動いてるのがわかる。すげぇ。

陣痛室にはテレビがあった。なんとなく見てるとトイストーリー1が始まった。
やっぱまだスペースレンジャーのバズの空回り感は最高だね。

機器で心音が読みづらくなると言うことなのでボールでさするのをやめる。
代わりに手を握るようにした。陣痛が来るたびに強く手を握られるので握り返してさする。

診察を受ける。
順調に進んでるらしい。破水をきっかけにさらに段階が進むでしょう、とのことなので破水待ち状態。
22時以降は病院に出入りができなくなると言うことなのでコンビニへ。

トイストーリーが終わった。生まれてきた赤ちゃんと共に見たい。
陣痛の間隔が4分くらいになった。痛みがかなり強そう。

2回目の内診。また外に出される。子宮口が開いていたら分娩室に移動になるようだ。

なんかめっちゃ痛そうな声がするんだけど!?パニック!
どうやら破水させたようだ。

子宮口の開きが7−9cmほどだからもうちょい我慢の指示が出る。
でも超痛そうだよ!まだ力んじゃいけないからとにかく痛みを逃すしかないので、深く深く息を吐くしかない。とにかく手を握り汗を拭くことしかできない。がんばれ!
助産師さんから痛みで自分で水分を取れないから飲ませてあげてくださいと言われた。
でもストロー沈んでるよ!!ストローが沈まないギリのところで手で持って飲ませた。

いよいよ日付を跨いでしまった。
陣痛の間隔がかなり短い。1分おきくらいだろうか。
かなり大きな声を出して痛がってるんだよ。そりゃそうだよ。
何度も手を握りながら「ごめんね」と言っている。神様彼女は何も悪くない。早く楽にしてあげてください!

その後も大きな痛みの陣痛が続く。マシーンの陣痛の数値が100近いんだけど!?
これめっちゃ痛いだろ!!なんか数字で知りたくないよ!怖いよ!
彼女は痛みに耐えながら「ごめんね、苦しいよね、ごめんね」と言っている。
俺に謝ってたんじゃないんだ。お腹の赤ちゃんに謝っていたんだ。なんかもう泣きそうになるよ。分娩室にいくのはまだかい!?

ついに分娩室に移動だ!
準備をするとのことで僕は陣痛室で一人待たされる。
彼女を見送った時、尋常じゃないほどの汗をかいていた。

ここから先はメモを取る余裕なんて一切なかったから、思い出して書こうと思う。

分娩室で分娩台に乗るともう準備完了、と言う感じがした。
深夜なので助産師さんが二人のみだった。さらに隣でももうお一人分娩が始まっている妊婦さんがいるようなので分娩室はてんてこまいだった。
ここからは助産師さんがタイミングを見計らって力を入れる指示を出してくれるようだった。
赤ちゃんに酸素を供給するため鼻に酸素チューブをつけられる。これがめっちゃポロポロ取れるのよ!助産師さんが「上下付け間違えたかな?旦那さん治してあげて!」と言われ、ひっくり返して直すけど結局落ちるのよ!奥さんは痛みと戦ってるからそれどころじゃないし俺は酸素チューブと戦ってるし、もうてんやわんやよ!しかし助産師さんがうまく呼吸を誘導してくれて、「赤ちゃんだいぶ降りてきてますよ!まだ頑張って我慢して!」っていってくれるもんだからとにかく痛みに耐えた。

陣痛(もはや30秒間隔くらいなのか?)が来るたびに痛みを逃す。「上手に逃せてます」とのこと。後もうひと頑張り!

しばらくすると「もう頭が出てきそうですよ!陣痛が来たら力んで!」と指示が出た!
陣痛の波に合わせて力を入れる。陣痛が引いた時には呼吸を整え、また力む。この繰り返しが永遠のように感じた。「うぁぁぁぁぁぁ!!!!」と声にならない声を上げながら必死で赤ちゃんをこの世に迎え入れようとする彼女の姿を見て本当に涙が出そうになったよ。

そして最後の瞬間!!「産まれましたよ!!』の声と共に『んぎゃぁぁぁぁ!』と産声が聞こえた!!

産まれた後のメモが残っていたのでそのまま載せようと思います。

ついに産まれた!!!!
真っ赤っかで産まれた瞬間泣きながら現れましたよ!!!!!!!
めっちゃかわいいじゃねぇか!!!!!!!
なんだこれ!!!!

奥さん、本当にお疲れ様
丸一日この痛みと戦い続けたのか

動いてる様子を見たら
めちゃくちゃに泣けた
ついに自分の子が生まれました

みんなほんとうにありがとうございました
スタッフの皆さんも本当にありがとうございました!

以上がボビお誕生までの道のりです。

あの赤ちゃんに出会えた素晴らしい瞬間を忘れないように書き留めておこうと思います。
出会えて本当に良かった。

この手に抱いた瞬間はその小さな命に出会えたことに感謝しかなかったです。
そして恥ずかしい話、この瞬間に父になったという感情が急激に湧いてきました。

いつかまたこの文章を見て、振り返れたらいいなぁ。

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